やっと読み終わりました、二回目の停滞を迎えて読了。「スプートニクの恋人」村上春樹(講談社文庫)です。
ずっと何かが引っかかっていたように読めなかったのに、四国からの帰路の中で、すらすらと読める瞬間があって。でもいつもより時間をかけて読み進めました。喫茶店、ベッドの上、そして四国。長い間バッグに入っていたような気がします。
そうそう、先日四国に行ってきました。人生初めての四国。瀬戸内の海は綺麗でした。
小学校教諭の「ぼく」は、煙のように消えてしまったすみれを追い、遠い異国の島まで向かう。22歳で初めて恋に落ちたどうしようもないレズビアンのすみれを追って。
すみれは小説を好んで読んだ、やせっぽちだった。すみれが大学をやめたのと同じ時期にぼくもその大学を卒業した。
そのあともぼくとすみれの交流は続いて、すみれはぼくの家に来て、小説の話をして、本を交換する。すみれはレズビアンだけど、ぼくはすみれに激しく欲情する。ぼくはその熱い欲を必死に抑える。
すみれは一人暮らしをして、小説を書き続けた。だけど書き遂げることはできなかった。すみれはミュウに出会った。激しい恋に落ちた。22歳の春だった。そこですみれの人生は大きく変わった。
読んでいるとき、遠くへ行きたくなった。村上春樹の小説はいつもそんな気分にさせてくれるのです。限りある現実の、限りない非現実。これから置いていく現実を気にしながらも遠くへ行って、簡単な朝食を作って、ヴェランダで食べる。海へ行って、裸になって、音楽を聴いて、書き物をして。永遠のような時間をどこか遠くで過ごしたい。
そして煙のように消えてしまいたい。
99%の無駄を省いて1%に集中することを目標としていますが、まだまだ程遠い事務員です。趣味は断捨離と読書。