芥川龍之介を諳んじる癖

夏祭りの季節になりましたが、私は夏祭りが苦手で高校生になった途端に行かなくなりました。道行く浴衣姿のアベックを見ると、ああそんな季節かとため息のひとつでもつきたくなるような、そんな季節です。海水浴、プール、夏祭り、キャンプ、花火大会とは無縁の人間ですので、ただただ蚊に頭を悩まされる夏がもうそこまで近づいてきました。

人を刺さなくなる蚊の研究がどうやら行われているとテレビで聞きましたが、もし実現したとして、そんなことができるのならば、蚊を絶滅させたほうが早いし効果的なんじゃないのかなって思いながら、自宅のムヒの在処を探っている今日この頃です。

人には色々な癖があるかと思いますが、私の場合、行き詰ったりいやなことがあると芥川龍之介の南京の基督を諳んじる癖があります。

彼女は朋輩の売笑婦と違つて、嘘もつかなければ我儘も張らず、夜毎に愉快さうな微笑を浮かべて、この陰欝な部屋を訪れる、さまざまな客と戯れてゐた。さうして彼等の払つて行く金が、稀に約束の額より多かつた時は、たつた一人の父親を、一杯でも余計好きな酒に飽かせてやる事を楽しみにしてゐた。

変な癖だなあとは思いつつもやめられそうにないです。