microSDの功罪

携帯電話やスマートフォンをはじめとして色々な機器で採用され、これらの機器を利用されているかたでmicroSDカードを見たことがないという方はもうすでに少ないのではないでしょうか?
指先のツメほどのサイズでなおかつ大容量、しかも手ごろな価格ということで、直接的にも間接的にもカメラなどの画質向上や機器のコンパクト化、応用用途の広がりなどいろいろと役立ってくれている記録メディアなのは間違いありません。
が、しかし、そのコンパクトな形状や利用人口の急拡大によっていろいろなトラブルも増えてきています。
その1つが、弊社でもよく取り扱う「破損」ですね。
特に物理破損についての割合は、他のフラッシュメモリ媒体と比べてmicroSDカードはダントツで多くなるのですが、あまり気づかれていない様子も見て取れます。
microSDカードはあまり頻繁に取り外したり装着したりといった用途を前提とされていないのではないかと感じるのですが、とにかくカード側の厚みのばらつきや、受け側(カードスロット側)のロックの硬さなども機器によって大きく異なっているという現状があります。
やわらかすぎるものの代表格は「SDカードアダプタ」でしょうか。
単純にmicroSDカードを標準のSDカードサイズに変換するためのアダプタで、内部では単純に配線を伸ばしているだけの構造なのですが、microSDカードを買うとオマケについてくるといった感じであることからコストがかかるような構造にはなっていません。
で、大多数のモノはこのアダプタの食いつきが非常に甘く(SANDISKのものは逆にカタすぎて困りますが)、極端なものでは通電中の接触不良も起こします。そのため、撮影中などに突然データが消えてしまう原因のひとつになることも考えられます。
ただ、これよりも深刻なのが、カタすぎるカードスロト。
これは携帯電話やスマホ、あるいはメモリーカードリーダなどでもよく出くわすのですが、硬いロック機構のスロットにmicroSDカードをセットするためにかなりの力で押し込まないといけない。
ところがココが厄介で、スロット機構に対して垂直に力をかけて押し込まないとmicroSDカードを折り曲げてしまうことになります。
microSDカードはこの曲がりにとても弱く、ぐいっと押し込んだ拍子に微妙に曲がってしまい、それっきり利用できなくなってしまうケースが後をたちません。
こういった曲がり破損が生じたカードでも、一見 見た目では曲がっているように見えないこともないのですが、裏返して光にかざしてみるとちょうどメモリチップが実装されているであろう場所あたりがうっすらと曲がっているのが見てわかります。
こうなってしまうと もうお手上げで、どのような機材を利用しようとも内部基板が破損してしまったものは内部のデータを取り出すことが不可能になってしまいます。
フラッシュメモリの大容量化にともなって、このような小型のmicroSDカードにも人によっては数年分の大切な思い出が記録されたままになっているという事もよくあるのですが、ちょっとした力のかけ具合で一瞬にして失われてしまうことは、とても悲しいことです。
もっとmicroSDカードを販売しているメーカーやそれを利用している機器を作っているメーカーさんには、このような悲しいトラブルが起こらないように利用者さんに周知徹底をしてもらいたいところです。