在留資格と地下経済

久々の無国籍シリーズ、ちょっと離れて、今日は在留資格と地下経済についてです。

少し前・・・といっても2年ほど前の話ですが、2012年7月9日から新しい在留許可制度がスタートされました。(ちょうどこの頃、「無国籍ネットワーク」という団体が弁護士さんを呼んで勉強会のようなものをされていたので参加しました。)

日本国籍所有者にとってはあまり知られていないニュースかもしれません。

外国人登録法、外国人登録証(外登証)が廃止され、それにかわって新たな在留管理制度として在留カード、住民基本台帳制度が導入されました。特別永住者(※)には、在留カードではなく特別永住証明書が交付されます。

※特別永住者:第二次世界大戦以前から日本に住み、昭和27年(1952)サンフランシスコ講和条約により日本国籍を離脱した後も日本に在留している台湾・朝鮮半島出身者とその子孫。入国管理特例法によって永住資格が認められている。

しかし、在留カードの交付対象者は、在留資格のある中長期滞在者なので、在留資格のない無国籍者は管理の対象から外れることとなります。

在留カードの国籍・地域欄には無国籍者は無国籍と表記されるとするが、無国籍の認定基準が明らかではないのが問題です・・・

さて、この在留カードですが、労働制限の有無が記載されることとなりました。不法就労させた場合は事業主も処罰(※)の対象となります。

※不法就労させたり、不法就労をあっせんした者「不法就労助長罪」・・・3年以下の懲役・300万円以下の罰金

これによって不法滞在者だったり在留資格のない無国籍者が食べていくためには・・・ここで地下経済です。

「世界の[下半身]経済のカラクリ」門倉貴史(アスペクト文庫)によれば、1992年のデータによれば、摘発された女性不法就労者の11%が売春婦として働いていた。推計の結果、2012年時点で売春産業に従事している外国人は3620人と計算される。・・・とのこと。

恐らく生きていくためにはこういった世界に入らざるを得ない状態になってしまっている女性はこの数字より多いんだろうな。また就労資格がないために、さらに劣悪な環境で働かざるを得ない人はさらに増えていくのではないかと私は思います。