謎の出版社

2日遅れの話題ですが、Wikipediaにしか存在しない出版社の謎について非常に興味深かったので、今回のテーマに。

その謎の出版社というのが「央端社」(おうえいしゃ)

日本語版Wikipediaで、「犬の品種に関する記事で、実在が確認できない出版社の刊行物を出典に挙げたものが多数確認された」とのこと。

この央端社についてはAmazonでも該当する書籍が全くなかった他、国立国会図書館や、日本で刊行される出版物のISBNコードを管理している日本図書コード管理センターにも該当する出版物はない。

Wikipediaの参考文献としては以下のようなものが「央端社」から刊行されているとのことですが。

  • 「謎の絶滅犬種を追え」
  • 「世界の愛犬」
  • 「アメリカ二重純血種の是非」
  • 「ブル・テリアの歴史」
  • 「戦禍に散った忠犬のまなざし」
  • 「珍犬種100選」
  • 「アメリカにおける新品種」
  • 「犬食文化と7つ犬種」

1996年以降に出版活動を行っているならばISBNコードを取得していないとは考えにくく、これらの文献のどれか1冊くらいは国会図書館やネット書店に登録されていてもおかしくないのに1冊もヒットしない。問題となったWikipediaの「サラ・スピッツ」についての記事はアメリカの犬種にも関わらず、他言語での記事もない。ノートでは「央端社」の刊行物を出典として挙げていた編集者が「どこかしら宮城県内にあったが、現在は倒産したのか場所が確認できない」としています。

幻の出版社、幻の本。昔からWikipediaを鵜呑みにしてはいけないとは言いますが、今回の「央端社」の件でより深く実感できたような、そんな話題でした。