64GB USBメモリの容量が32GBと表示される理由

USBメモリの中身
USBメモリの中身はこんな感じ

■USBメモリに限った話ではないけれど

タイトルのような症状はなにもUSBメモリに限った話ではなくて、SD/microSDカードでもよく目にする症状です。

さらに付け加えるならば、64GBに限らず例えば以下のように
128GB のはずが 64GB に
32GB のはずが 16GB に
16GB のはずが 8GB に
8GB のはずが 4GB に
4GB のはずが 2GB に

といった感じで、本来あるべき容量の半分程度しか認識されないというのは実はずいぶん昔からよく見かける症状の1つです。

■ソフト的な要因?

まずこの症状をみてソフト的に詳しい人であればパーティーション分割されていることを疑ったり、FAT32などのようにフォーマット形式が原因ではないかと疑ったりします。

たとえばWindowsをお使いの方ならば、まっさきに設定からディスクの管理を開いてみるというのが手慣れた方々の初動ではないでしょうか?

ディスクの管理画面
手慣れた方は見慣れているであろう画面ですが…

ですが、開いてみても期待したような「未割り当て」な領域が見当たらず、原因がわからない状態に陥ってしまうということも少なくないと思います。

■ハード的な要因?

ウチの会社のような、なんらかのトラブルが発症したSDカードやUSBメモリを日常的に扱う人というのはさほど数は多くはないかもしれませんが、現実によく寄せられてきます。

ハード的な要因の場合、使用者の手元で認知されている症状としては、

「フォーマットを促される」
「突然すべてのデータが消えた」
「カードエラーと表示される」

といった、カード破損の典型的な症状のどれか(あるいは複数)が現れるか、あるいは冒頭のように

「使っていないはずなのに空き容量が半分しか無い」

といった症状として現れていることもあります。

■実は昔からよくある症状

職業柄どうしてもバイアスがかかっているかもしれませんが、経験上はソフト的要因であることは希でありハード的な要因がほとんどではないかと思われます。

実際のところ、ソフト的に症状を再現することは非常に簡単でありそれこそストレージのパーティーションを壊すなり修正するなり手を加えることで実際の半分の容量を使えなくするということはできます。(その場合には半分に限らず任意の容量にも調整できてしまいますが)

しかしこのような操作は手順も長く複雑であり、偶発的に起こるということは考えにくいというのが現実ではないでしょうか。

■ハード要因の場合には修復は不可能

ハード要因の場合にはもとの容量に戻すことは基本的にできません。

内部的に半分のメモリ容量が接続できない状態になっているため、ソフト的にいくら探そうとしても接続されていないメモリを探してアクセスすることはできないのです。

原因として考えられることは基板上での接続が劣化や衝撃などの要因で途切れてしまうことと考えられますが、この途切れてしまう場所は様々で、基板上に複数実装されたフラッシュメモリへの配線だったり、ワンチップ化された内部でコントローラが内部リークなどで壊れてしまったり、フラッシュメモリそのものが部分的に壊れてしまったりといったこともあるのでしょう。

ファイルダンプイメージ
こういったダンプも手練れの皆さんは見慣れていると思いますが

アクセス可能な領域のメモリダンプを見てみると、上位ビットや下位ビットがまるごと欠落しているような値ばかりが出てくることもありますし、そうではなく半分のアドレスしか応答してくれなかったり、あるいはアドレス指定に対して応答があっても期待した領域ではなく繰り返し同じメモリ領域の値が出てくる(これは容量偽装にもよく活用される仕組みでもあります)なんてこともありますから同じ現象でも原因部分を特定するのは困難を極めることになります。

■その時代その時期の大容量品に多い

このようなトラブルはその時代その時期ごとにベースになる容量は異なるものの、いつも同じようなパターンで傾向的に表れてきています。

16GBがハイエンドと言われた時代にもよく見ましたし、32GBが出始めたころにもよく見ましたし、64GBが一般化してくる段階でもよく見ましたし、いまや128GBや256GBにとどまらず512GBや1TBなんてフラッシュメモリ製品も市販されていますが、これらの容量の半分しか使えなくなったなんてことも当然ながらあります。

かつてのハイエンドも年月が経ち生産工程がこなれてきて普及品扱いになった時点でパタッとみかけなくなるんですけどね。これを書いているタイミングだと16GBや32GBでこのような症状を見かけることはかなり少なくなってきました(ただし古い生産ロットのものを使っている方もいらっしゃいますから皆無というわけではないですが)。

くれぐれもUSBメモリやSDカードなどを購入されるときは消耗品であるという認識をしていただき、過剰に大容量のものを選ぶのではなく、その時必要な容量のものを買うように心がけることを強くおすすめしております。


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