気温が下がるとデータも壊れる?

ここ数日でぐっと気温が下がってきていますね。
すごく個人的な話ですが私は寒いのは苦手です。できればずっとコタツにこもって仕事していたいのですが、なかなかそういうわけにもいきませんしそもそも職場にコタツがありません。
もっとも、寒さに弱いのは私だけではなくて、雪が降り積もるくらいの温度になってくるとデジカメなどのバッテリーの消耗も激しくなってくるようです。

さて、主にバッテリーで動いているデジカメなどでは常にそのリスクと隣り合わせとも言えるのですが、SDカードへのアクセス中の電源落ち。
もちろん最近のカメラになればなるほどバッテリーも制御側もかなり高精度かつ安全な方向に設計されているとは思うのですが(いやコストダウンのためにいろいろと省略されているようにも薄々感じますが)それでもやはりバッテリーというのはある種なまものであって徐々に電力を供給する能力が落ちていくものなのは今も昔も変わりません。

デジカメを取り巻く環境で大きく変わったのは高画素化とSDカードの大容量化が顕著でしょうか。
写真1枚あたりのデータ容量が格段に大きくなったためにそれを格納するSDカードの記憶容量も大きくなり、今ではSDHC(32GBまで)どころかSDXC(現在256GB程度まで)までサポートされるようになってもう何年にもなります。

そこそこ上級機種になると連写性能を上げるためにバッファーメモリもたっぷりと搭載できるようになり、いよいよSDカードへのデータ書き込みに使う時間と電力は相当なものと予想されます。(未操作時間でSDへの書き出しを行うことが多いのであまり利用者の目にとまることは少ないのかもしれませんが)

さてこの書き込み中にバッテリーがへたってしまうと、当然ながら電力が失われます。
この際に運悪くSDカードへのアクセス中であった場合には・・・試したことがある人は少ないかと思いますが、書き込み中にカードを抜いてしまうのと同じようなことが起こりえます。

そう、最悪のタイミングの場合にはそれまでにSDに記録されていた全データを失うことになります。
バッテリーのへたりが一時的なものであれば、またしばらくすれば電源オンにすることができますが、その際に画面には「破損したカード」や「データがありません」などと表示され、あわててここで試し撮りをしてしまうこともあるかもしれません。

もちろん最善策としては試し撮りもせずに速やかに電源をオフにしてカードを抜いて保管しておくのがベストです。
バッテリーは気温が下がると極端に能力が低下しますので、このくらい急激に気温が下がってくるシーズンでは同じような症状の救助要請が増える傾向にあります。
くれぐれもカメラを屋外で使うときは極端にバッテリーを冷やしてしまわないようにするのも、自衛策のひとつと言えるかもしれません。

64GB品の救出依頼が急増中

年末年始ごろより、特にmicroSDXCの64GB品でのデータ救出依頼が急激に増えてきております。

弊社でお受けする依頼品の傾向といえば、市場での価格が手頃になってきた直後の製品でのトラブルというのが予想されるのですが、今回も64GB品が偏って増えてきていることから、市場価格がこなれてきたのでしょう。
つい先日まで32GBが増加傾向が顕著だなあと思っていましたが、すでに市場は64GBへのシフトしつつあるようです。

もちろん、microSDHCの32GB品はもう日常的にお預かりするようになってきましたので、すっかり市場での地位も築きあげたというところでしょうか。
昨年初旬ではこの32GB品の実際の使用程度は概ね50%未満という使い方(つまりは空き領域が大半)が多かったのですが、そろそろ32GB品でもいっぱいいっぱいまでデータを保存されているようなものが増えつつあります。
これもほんの少し前までは32GBのカードをいっぱいまで使うようなのはプロかハイアマチュアのカメラマンさんのRAW撮影データでの救出要請が多かったのですが、いま現在は動画データが多く容量をくってしまう傾向もみえつつありますね。

しかし、やはり各メーカーさんはいまだにアナウンスしてくれていませんが、フラッシュメモリ媒体に長期間のデータを保存することがいかにリスクと隣り合わせかということは全く徹底されていないようです。
32GBともなると写真データ(JPEG)のみで考えると数年分くらいは余裕で格納できてしまいますから、実際にお預かりしても5〜7年前くらいまでのデータが集約されて保存されていたというケースは本当に多いです。

さて、実際の64GB品はどうよ?というところも気になりますよね。
いま現在お預かりする傾向が多いのは、銘柄としては非情に定番でメジャーと呼ばれるメーカの製品と、もう1つは某携帯キャリアのカラーのものがダントツで多いです。おそらくはスマートフォンの販売とあわせて激しい売り込みをされているのかなと予想します。

まだ販売から日が浅いものも多いと思われ、うちでお預かりする32GB品よりは多少は破損程度が浅い傾向があり、おかげで復元率もかなり高めに出てきています。(どういうわけか32GB品は限界を超えて使い続けられたような、あるいは復元ソフトなどで激しいアクセスを繰り返したのかもしれませんが、破損程度が大きく進行したものをお預かりするケースが多いです)

ただこの傾向も初期段階だからという予想を立てることができますので、これからより使用期間が長いものが増えてくると32GB品と同様の傾向を示してくるのではないかと考えられます。

それにしても大容量のメモリの普及の速さには目もみはるものがあります。
弊社でも検査機材の拡充に努めてはおりますが、なにせ検査するメモリ空間が検査機材の設計当初の10倍や20倍といった容量になってきているので、検査にかかる時間もそのぶんリニアに増加してきています。
できる限り価格水準は低くおさえるようにしておりますが、それでも検査時間にかかるコストだけは頂戴しないと事業として成り立たなくなってきてしまうところがいま現在の大きな課題のひとつになってきております。

2015年を振り返ってみると

いよいよ大晦日で通常営業も終了し、ちょっと書類整理にとりかかっているところです。
思い返してみると、今年は一気に大容量メモリでの救出要請が増えたようにおもわれます。
また、それとともに依頼品としてお預かりするカードメーカーもずいぶんと入れ替わってきたようにも思われます。

この仕事をはじめた当初はやたらと某○-DATAさんとかKING〜さんとかで救出不可能な状態まで進行しているようなものがよく見られたものですが、最近ではずいぶんと救出率も向上してきて、おそらくはおおもとの生産設備がずいぶん安定してきているのだろうなと思われます。

定番のSANDISKさんやPANASONIC、TOSHIBAさんのカードも売れている分だけ不具合品としてお預かりする機会はあいかわらず多いです。
正直なはなし、数年前までは依頼品でPANAのカードが来ているのを見ると内心「ああ、無理かな」と祈るような気持ちで検査機に通していたものでしたが(それほど、PANAのカードはギリギリまで動き続ける傾向だったということかもしれません)、いまではすっかり他社のカードと差の無い挙動を示すようになってきてほっとしています。

それにしても、パッケージの簡略化はすごい勢いで進んでいるようです。
SANDISKさんのSDカードでもケースを外してみると接点付近に1つ石が実装されているだけで、あとは基板すらなくてからっぽのケース部分をつまんでいるような感じになってきています。(以前は上海問屋さんのカードでそういう作りのを見ることが多かったですが今では一般化してきてるみたいですね)

コスト的には安くできるのでしょうけれど、復元やさんの意見としてはこの実装はあまりおすすめできないです。
接点の裏付近に大きなものが実装されているせいで、割れるんです。チップが。
カードの抜き差しが原因ということもあるでしょうし、ライトプロテクトのスイッチ付近が割れているものもよく見るのでスイッチそのものが固くて中のチップにへんな圧力をかけてしまったというものもあるかと予想されます。

内部で割れてしまっていると、場合によってはものすごい発熱をします。
利用者さんはあまり気づかれてないことも多いようですが、SDカードの外装ケースが中の熱で変形して部分的にふくらんでいることも割とあります。さわって火傷するくらいの温度ですから、当然ながらそれを装着していたはずのカメラやパソコンなどにも悪影響がでていることもあるかと思われます。

microSDカードの依頼品では今年もさんざん火傷しました(笑)
ほんとに不調なカードは発熱する症状もありますから、特にスマホのような機器に差し込みっぱなしだと危ないです。
不具合を感じたらカードをまず取り外しておくことがデータ救出の観点以外からも重要と言えます。

32GB以上のカードでは料金が高額になりつつあることから、手軽にご利用いただけるように割引策も導入しておりますが、そろそろ32GBいっぱいに使われているようなカードをお預かりする機会も増えてきています。
64GBや128GBのカードをおあずかりする機会も徐々に増えてきていますので、来年はなんとか機材増強をすすめて低価格を維持できるように頑張っていかねばと画策中です。

さて、こんな雑感を持ちながら本年の営業はそろそろとしたいと思います。
2015年もご愛顧をいただきましてありがとうございました。
2016年もより一層ご期待にそえるよう尽力いたしますので、どうぞ宜しくお願い致します。

年末年始の営業時間について

2015年も残すところわずかとなりました。例年この時期は年賀状需要などでデータ救出依頼も大変混み合っておりますが、弊社は年内無休で救出作業にあたっておりますので、お急ぎのお客様も安心してご利用いただければ幸いです。

さて、年内は12月31日までの営業となり、年始は1月2日からの営業開始となります。一部受付時間の変更などにつきましては以下の通りとなります。

12月30日 通常営業(09:00〜21:00)
12月31日 時短営業(09:00〜19:00)
 1月 1日 休業日
 1月 2日 時短営業(10:00〜21:00)
 1月 3日 通常営業(09:00〜21:00)

1月4日以降は1月31日まで土日祝も含め通常営業の予定です。

なお年末年始は運送業者さんの動きも慌ただしくなりますので、配送の遅延などについてはあらかじめご容赦頂ければ幸いです。お急ぎの納品についてはオンラインでのデータ提供も柔軟に対応させていただきますので、ご遠慮なくお申し付けください。

カード送付キットが好評です

お仕事や育児のためになかなか時間の自由がなく、SDカードを送りたいけれど郵便局に行く時間や宅配便で送る梱包材を買いに行くのもままならない。
こういったご意見をいただくことがしばしばありました。

弊社としてもなんとか送って頂く際の手間を省けないものかと検討いたしました。

一番は全国各地に拠点をむらなく置き、弊社スタッフが直接回収に伺うなどのサービスができればベストかもしれないのですが、それを実施しようとすると拠点やスタッフを大幅に増強しないといけなくなり、結果として大幅に料金アップせざるをえなくなるという結果が目に見えています。

あくまでも高品質なサービスをできるだけご利用いただきやすい価格でという根本から外れてしまうようなことがあっては、一件あたり数十万円もかかるような大手業者さんと何が違うの?ということになってしまいます。

なんとかいまの料金を維持したままでお客様の手間を最小限にすることはできないものかと考えた結果、カードを送って頂くための専用梱包材(封筒など)をご希望に応じて弊社から送付させて頂くことで対応させて頂くこととしました。

はじめはひっそりと始めた送付キットの案内でしたが、いつもお世話になっているヤマト運輸さんのご協力もあって到着した送付キットでご自宅から直接お送りいただけることもあり、梱包資材を準備頂く手間や郵便局あるいは宅配業者さんまで足をのばしていただかなくても手軽にカードをお送りいただけるようになったことで、ご活用頂く機会も徐々に増えてまいりました。

どうしても梱包材や送り込みコストがかかってしまう関係上、料金をぎりぎりまで切り詰めた「お手軽コース」ご要望のお客様からは実費程度の手数料を頂く形(2015年内いっぱいは無料)となりますが、「プレミアムコース」ご要望の場合にはこれからも頑張って無料で配布させていただきますので、お気軽に活用いただければ幸いです。